Messages 講師・卒業生・ご家族より皆様へのメッセージ

2016春期合宿【第9回 報告会】

5/5(木)の春期合宿最終日行われました報告会についてご紹介します。
テーマ:「医学研究が切り拓く世界~iPS細胞と臨床研究を通じて~」

報告会とは…
報告会では、毎年池袋理数セミナーの卒業生や保護者の方をお呼びして、現在行っている活動やお仕事についてお話していただいています。
卒業した先輩方や、医療従事者のお話を聞くことで、在校生や卒業生が将来を描くきっかけや自分の視野を広げるきっかけになればと思い企画しております。

医師という職業についてのリアルなお話
今回の第9回報告会は、iPS細胞を使い、心臓の筋肉が分厚くなる難病「肥大型心筋症」の治療薬候補を見つけた研究グループに所属されていた佐賀大学医学部循環器内科の田中敦史先生による講演でした。

田中先生は、今までのご自身の医学部受験時代から現在に至るまでの経験。
そして臨床と研究の成果と共にその実態をリアルに生徒にお話しいただくことで、医学部合格のその先に待っている「医師としての選択肢」について考えるきっかけとヒントを与えてくださいました。
そして、医師として働く限り、どの道に進むとしても「皆さんを必要としている患者さんが必ず待っています!」と力強いエールを送ってくださりました。
医学部受験時代「諦めてはいけない!」
現在は、研究でも大きな成果を上げている田中先生の受験は、順調ではなかったそうです。
受験のまさに直前期に、医学部受験を諦めそうになったというのです。
理由は、多くの受験生が悩んだことがある「成績が伸びない」ということでした。
その時に高校の先生と話し合い「諦めてはいけない」と後押ししていただき、再度勇気をもって奮い立ち、医学部受験へと臨み、見事「佐賀大学医学部」へ合格されました。

医学生時代の取り組み
大学では、全員が「医師になる」という同じ目標を持っているという特殊な環境の中で、さまざまなタイプの学生と出会い、たくさんの刺激を受けて過ごされていました。
その時に読んだ本の一つ「医者の半熟卵」に刺激を受け、3年生から国家資格に向け勉強したりなど、ご自身で考え必要だと思われていたことを実践する毎日を送っていました。
その中で、大学の図書館で海外の医学雑誌を読んで「将来は研究者になって論文を書いてみたい!」と研究への興味を持たれていたそうです。

研究の道を経て、得たもの
大学卒業後、研修医として無我夢中で勤務をしていた田中先生は、運命的な出会いをします。
その方は、研修先の循環器内科の新教授であり、海外留学から帰国されたばかりで最先端の研究心を持たれていた先生です。
そこから研究の道へと進まれます。
研究として取り組んだのが、iPS細胞を使った再生医療の分野でした。
その研究が世界的にも認められ、学生時代に思い描いていた医学雑誌への論文掲載が現実となりました。
その研究成果についても図や写真等を使用しながら、生徒にわかりやすいように丁寧に解説してくださいました。

研究という道は決して簡単ではなく、多くの失敗を積み重ねて、ようやく成果へとたどり着き、喜びへとなっていくもの。
そこに至るまでには、心から大変と感じる時期もあったそうです。
「やる気になればできるんだ!」ということが身をもって感じられた経験になったとお話してくださいました。

医師として働く上で大切なこと
医師は、臨床医や研究医、専門分野に関してもたくさんの選択肢があり、それは必ずしも生涯1つに絞る必要はありません。
臨床から得たものを研究に生かし、研究で得たものを臨床に生かしていく。
そういう働き方もできるのが医師という職業。
重要なのは、「何を」「誰と」成し遂げていくのか?
ということではないでしょうか。

そして、働く現場では医師はチームリーダーという立場であることがほとんどです。
その時に忘れないでほしいのが、自分がその仕事をするにあたって、たくさんの人の支えがあってこそ成り立っているということ。上司、同僚、スタッフ方々…。
医師は万能ではありません。
ぜひ謙虚な気持ちを忘れないでいてほしい。

周りの人といかにうまく付き合っていくのかも医師として働く上で、非常に大切になってくることも教えてくださいました。

田中敦史先生から生徒へのMessage
今回の講演では、私が行ってきたいくつかの医学研究の経験から、受験生時代には想像もつかなかった医学研究の世界の一部をご紹介することで、医師を志す皆さんにそれぞれの夢を描いてもらえれば、と思い講演させて頂きました。
そして、これからたくさんの経験をして、約10年後にドクターやさまざまな職種のプロとして立派にご活躍されている皆さんを陰ながら応援しています。
いつかどこかで声をかけてくださる日を楽しみにしています。

講演会講師プロフィール

田中敦史(たなか あつし)
2005年 佐賀大学医学部医学科卒業
佐賀大学附属病院にて初期研修を受け、福岡県久留米市にある新古賀病院で循環器一般診療に携わると同時に、MRIを用いた循環器画像診断の臨床研究にも従事。
2010年より慶應義塾大学医学部大学院に進学し、iPS細胞を用いた基礎研究を行い、博士号を取得。
現在は、2015年4月から母校の佐賀大学医学部に戻り、循環器内科や糖尿病領域の臨床研究に従事している。



◇生徒の感想を一部ご紹介いたします。◇
・自分は臨床と研究の両方をしたいと考えています。先生のご活躍を励みにして、まずは医学部に入りたいと思います。自分を待っている人がいるということを忘れずに、これからの勉強生活を送りたいと思います。(高卒・男子)
・ずっと勉強漬けで自分は一体何になりたいんだろうと思って医師を諦めようと思いそうになったことがありました。しかし、今日の田中先生のお話を聞くことができて、私は医師というこんなにも素晴らしい職業につきたいと思っていて、今頑張っているのだと思い出し、これからの受験生活のモチベーションが上がりました。ありがとうございます。(高卒・女子)
・自分の父も先生と同じ分野で研究を10年以上していました。父は臨床に戻ってしばらく経つのですが、若いころの父も先生と同じような思いなどを持っていたと感じ、話の内容をとても身近に感じました。父とも共有したいと思います。(高卒・男子)
・今までは臨床医になる将来像のみを描いていたが、研究にも打ち込めるものを見つけて挑戦してみたいと思った。柔軟に考えられるようになりました(高3・女子)
・臨床医になるか、研究医になるか決まっていないが、先生の「医学部に入ったからには勉強したい」等の言葉を聞いて、大学に入ってからの勉強にも意欲が持てました。(高3・男子)
・貴重な体験をさせて頂き、本当にありがとうございました。自分は医学部に入るためだけでなく、それよりももっと先にある僕の想像もつかない人生のために勉強しているのだと思うと、モチベーションが上がります。(高2・男子)
・とても重みのあるメッセージがたくさんあり、これから大変なことがあっても頑張ろうと思うことができました。自分が将来どうなっているかはまだわかりませんが、先生から頂いた言葉を忘れずに、勉強していきたいと思いました(中3・女子)


◆保護者の感想を一部ご紹介いたします。◆
・医者、看護婦、事務、スタッフ、etc、色々な人達とうまくコミュニケーションをとって忙しい日々で患者さん達を救っていく。自分の世界を自分で考えて進んでいって欲しいということに感動しました。医者になった後、どういう道を進んでいくか、具体的に身近にわかって良かったです。入試までのことしかわからない子達にとっていい体験になったと思います。医師は色々な道があるということが少しでも理解できればいいと思います。(高卒男子・父親)
・医師がゴールではないんだなと思いました。日々進化する再生医療など深めようと思えばいつでも続く研究である事。どこまでやるかは自分次第だと思いました。(高卒女子・母親)
・先生の高校時代の話しなど、個人的なお話しをたくさんして下さった事で、子供達も大変親しみを感じられたと思います。やる気があれば出来るようになる!という事を息子も近いうちに気づいてほしいと願っております。(高3男子・母親)
・自分を必要としている患者が待っているという言葉は印象に残りました。自分を必要としている人がいることを忘れず、答える為には辛い事は続くと思うが、目標に向かって前進してほしいと願うばかりです。(高3男子・母親)
・素晴らしい内容でした。受験生も研究の楽しさ、やりがい、臨床のやりがい等理解できたと思います。いっそう受験勉強にも力が入ると思います。(高3女子・父親)
・研究のDr.のお話はとてもおもしろかったです。子供達も臨床の他にもこういう道があると目からウロコになったのではないでしょうか。また面白い話聞きたいです。(高2男子・母親)
・10年後にどんな娘になっているのか楽しみです。確かに一つのことを成し遂げるのは大変ですが医学部が一つの通過点なので最後まで頑張って欲しいと思います。(高1女子・母親)
・医学部に合格し、医師免許を得ることで生きていくことの選択の可能性が拡がること、広い世界の中で生きられること(権利を得られること)に感銘を受けました。(中3男子・父親)

最後に…
田中先生は、生徒のためにどのような話を準備したらよいかと事前に熟考してくださり、講演会の直前までシミュレーションを重ねてご準備してくださっていたと伺っております。
医師を目指す生徒たちが書いた振り返りを読みますと、研究と臨床、専門分野の選択をどうするかなど、普段よりも深く考えることができた様子でした。
また実際に研究されていた内容のご紹介をしてくださり、研究に興味を持った生徒、研究への関心が今まで以上に高まった生徒もいたようです。
日々の学習が自身の将来のどのような道へとつながっているかを想像し、学習にさらに熱が入っている様子です。
田中先生、本当にお忙しい中、綿密なご準備と素晴らしい講演ありがとうございました!

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